6mAM機を作りました(2000年10月、2001年1〜2月加筆) |
6mAM機を作りました。 2001年1月6日にFCZ研究所前で行われる新年会に持ち寄ろうという話がきっかけでした。以下、その3か月間の作業をご紹介します。 左は、完成した状態です。というか、実は、フロント・パネルのレタリング固定剤を吹き過ぎて、おまけに乾燥を急いで加熱したらみごとにブツブツの気泡だらけのまま固まってしまい、大失敗。時間がなかったので、とりあえず気泡の浮いた表面をこそぎ落としてごまかしました。「霜降り」ですが、なんとなくスウェード仕上げみたいな感じでもあります。そのうち、きちんと剥がして塗り直したいと思っています。(2001年1月8日) |
最近10年間ほどの製作記事を見ると、受信部にはサンヨーの中波・短波ラジオ用ICであるLA1600を使うのがはやっています。たしかに、とてもシンプルな構成でできてしまいます。 しかし、何か一捻りしたいものだと思い、以前読んだトラ技の記事で、移動体通信用機のIF用に設計されたログアンプICのRSSI(=Receiving Signal Strength Indicator つまり早い話がSメータ)端子を使ってAM波の復調を行うという実験があったのを思い出し、実験してみました。左がその写真です。ログアンプICには、NJR(新日本無線)のNJM2232Aというものを使っています。 実は、このIC、このホームページに出ている「自作500MHzスペアナ」のログアンプとして6〜7年前にも使ったものです。結構高いICだったので、スペアナに使ったものの他には、あと1個しか手持ちがありませんでした。 実験結果の概要は、自作プラーザの方に書きました。要するに、AMの受信もできないことはない、ということでした。ただ、アマチュアの6mAMのように変調度が100%ともなると、かなり歪みが生じてしまいます。信号を対数圧縮しているわけですから、変調波形も対数圧縮されるわけです。もう一つ、ログアンプの全段が飽和するような強い信号が入って来ると、RSSI出力も飽和してしまいますので、振幅情報が得られなくなってしまいます。 そんなわけで、6mAM機の受信部は、やはりLA1600で行くことにしました。 ログアンプそのものは、実験してみるととても面白いですよ。(2000年10月) |
ログアンプの実験など寄り道をしている間に、だんだん年末が近づいてきてしまいました。 回路の方は、頭の中であれこれと構想を練りつつありますが、まだなんとなく意欲が沸きません。しかたないので、ケースを先に作り始めました。 ミズホから昔出ていた小電力テレビ送信機用の電源アダプタのケースを1k円で手に入れておいたので、これを加工することにしました。ミズホのケースらしく、上下の蓋はアルミですが、中には鉄のフレームが入っています。側面にはビデオ・カメラ用のコネクタが付いていましたが、それを取り外してアンテナ・コネクタ等を取り付けます。ボール・ドライブとポリ・バリコンは、内部構造やフロント・パネルのレイアウトに大きく影響するので、一番最初に位置を決めて組み込みました。 鉄のフレームは、BNCコネクタで1.5m長のロッド・アンテナを付けて振り回してもびくともしないので助かります。ここがやわだと、振動がバリコンまで伝わってQRHの原因になります。(12月25日頃の状況) |
フロント・パネル等の加工も終わり、それに合わせて中にシャーシーとなる片面生基板を取り付けました。フレームの側面には、大きい丸穴を埋めるためにMコネクタと4ピンのマイクコネクタを付けてみました。 ちなみに、基板の切断は、ホーザンの回転歯の基板カッターを使っています。回転歯を交換するとアルミ板も切れるすぐれものです。(12月31日の状況) |
これが完成した基板。生基板の上に、FCZ基板をいろいろな大きさにカットしたものを貼り付けて回路を組み上げています。 回路図はそのうちに描こうと思いますが(なんと回路図なしで作ってます)、おおまかな構成は、以下の通りです。 【受信部】 高周波増幅:2SK241GR→局部発振:発振2SC1815Y、3逓倍2SC1906→混合〜中間周波増幅〜検波:LA1600→低周波増幅:TA7368P やはり、LA1600を使ったら、とってもお手軽に受信部ができてしまいました。高周波増幅が発振気味でしたので入出力同調回路をQダンプしてやりましたが、それでも0dBμVの信号がちゃんと聞こえます。IFは455kHzで、ジャンク箱にあった帯域8kHzのセラフィルCFKR455(もともと自動車電話基板に付いていたもの)を入れています。 【送信部】 発振:2SC1815Y→3逓倍:2SC1906→前置励振増幅:2SC1906→励振増幅:2SC2053→電力増幅:2SC1970→終段コレクタ変調:TA7368P なお、変調器の入力段には、LM358を1/2ずつ使って、リミッティング・アンプとfc=2700HzのアクティブLPFを設けています(いつも不思議に思うのですが、ほとんどの自作AM機で送信変調段に帯域制限をかけていないのはなぜなのでしょう?)。無変調時出力は1Wです。実は、送信部は結構苦労しました。教訓としては、(1)50MHz用の3逓倍は2SC1815Yではちょっと苦しい(2)C級増幅は、ドライブ・パワーが足りないと全然パワーが出ない(3)2SC2053はオーバードライブするとすぐ飛ぶ、等々・・。 さて、ここまでは、どうということのない話です。本機の最大の特徴は、2連PVCを使って送受信の2個のVXOを一緒に動かして、50.450〜50.750MHzの300kHzの可変範囲においてほぼ無調整でトラッキングを実現したことです。受信用の水晶は、ミズホ通信で分けていただいたピコ6AM受信(50.500〜50.700MHz)用の16.7680MHzのものです。また、送信用の水晶は、秋月の店頭にあった16.9344MHzのものです。それぞれ、単純に3倍すると50.3MHz、50.8MHzになりますが、これをFCZのVXO-50というコイル(現行品はVXO-2)と20pFのPVCの片側でVXOしてやると、なんと300kHzの範囲でトラッキング誤差2kHz以内に収まることが判明しました。たまたまですが、このことを発見したときは、小躍りして喜びました。hi このような方式、大昔のTRIOのTR-1100Bで使われていました。こちらはVFO式です。 現ICOMのベストセラー機FD-AM3が送受信別々のダイヤルで、使用するたびにキャリブレート操作を必要としたのに対し、TR-1100Bの方は、ときどきキャリブレート操作をするだけで、後の完全トランシーブ機TR-1200のようにワン・ノブでQSYできたといいます。私は、個人的な好みとしては、無線機はある程度操作が複雑な方がなんとなく好き(ただし覚えられないようなボタン操作は嫌い)ですから、最初はFD-AM3のような2ノブ式VXO機を作ろうと思っていましたが、パネル面にVXOダイヤルを2個配置するスペースがなかったことと、ボール・ドライブ・メカが国内で製造中止になってしまい、2個も使うのは贅沢すぎると思ったため、次善の策としてTR-1100B方式を狙ったという次第。 ケースの大きさはだいたいTR-1300くらいですが、1Wも出す昔ながらのショルダー機スタイルですから、電池は単2×8本収納できるようにしました。(なんとか1月6日の朝にできあがりました。) |
2001年1月6日、FCZ研究所に20数名のQRPerが集まり、新年の野外大宴会を行いました。その余興として、それぞれ持ち寄った6mAM機で至近距離でのQSOを行い、その場でカードを交換しました。左は、私が交信したJH1FCZ大久保さん、JG6DFK/1児玉さん、JG1RVN/1加藤さん、JK1OLP/1當銀さんのQSLカードです。 |
やっと、フロント・パネルの再塗装も完了しました。(1月13日) 回路図が出来上がりました。(1月27日) 変調トランスをST-46の一次(400Ω)側の巻き線を太めのポリウレタン線で巻き数約1/3に巻きなおしたものに変更しました。直流抵抗も25Ωから5Ωに改善しました。が、その副作用で、またファイナルが飛び、交換するはめになりました。よく考えてみると、無変調時Vcc=12Vで100%かけると、振幅のピークではVcc=24Vになります。これに対して2SC1970のVCEOの絶対最大定格は17V。飛ぶのも無理ないという感じです。ドライバ段も同様。やはりAM変調用にVCEOの絶対最大定格を高く設計してあるCB用の石か何かを使わないとだめなんでしょうか。あとは、2SC730とか。今後の課題として残りました。当面、変調度をちょっと下げて使うしかなさそうです。(2月4日) で、サトー電気のホームページから、CB用でVCEOが45V、Poが1W の2SC2314(10個500円!)という石をみつけ、さっそく通販で購入して終段を交換しました。ドライバ段はとりあえず手持ちの2SC1973(VCEOが50V)に交換。ついでに、発振防止に入れていたフェライトビーズ等も取り去ったところ、いい感じになりました。電源12Vで出力1.0W、13.8Vで1.5W出るようになりました。これにて完成です。回路図も修正してあります。 |